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事業承継と拒否権条項付種類株式-黄金株-

2006年(平成18年)施行の会社法は、剰余金の配当や残余財産の分配、議決権の行使等について内容の異なる二以上の種類の株式の発行をすることを認めており(会社法第108条)、これを種類株式といいます。

種類株式のなかで、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会または清算人会)において決議すべき事項のうち、当該株主総会の決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする種類株式を拒否権条項付(種類)株式といい(会社法第108条1項8号)、この拒否権条項付株式は、自己株式取得禁止規制の緩和等とともに敵対的買収に対する防衛策として検討、導入がなされたものですが、この拒否権条項付株式の導入は、既存株主の会社の支配権維持に利用できることから、非公開会社の株主の支配権維持とこれに伴う安定的な事業承継を図るうえで効果的な利用が可能です。

非公開会社では、元来、その発行株式について、新たな株主の参画を防ぎ、会社経営に対する影響力を確保したいという思惑から株式の譲渡につき譲渡制限を設けていますが、譲渡制限だけでは会社支配を維持する点で万全とはいえない場合があります。

譲渡制限株式の譲渡のタイトルでご説明いたしましたとおり、譲渡制限株式も譲渡することが可能で、思惑の相違から指定買取人との間で後日、確執が生ずることや支配比率が当初から磐石でなければ、非公開会社の株主相互間または選任した役員との間で経営方針をめぐって確執が生ずることがありえます。

そこで、特定の株主が会社内におけるその支配権を磐石なものとするためこの拒否権条項付株式を発行しておくことが考えられます。拒否権条項付株式は、外部的な敵対的買収に対する防衛策だけでなく、会社に対する支配権を温存し安定的な事業承継を図るうえでも有効な手段です。

しかし、拒否権条項付株式を発行する株式会社では、通常の株主総会等の決議に付加して種類株主総会の決議がなければ株主総会等の決議ができないわけですから、当該拒否権条項付株式を取得している者の会社支配に対する影響力は極めて絶大で、他の株主との間での均衡は著しく崩れることとなり、事情次第では拒否権条項付株式を有する株主の専横の可能性も否定できません。非公開会社でいわば独裁的なガバナンスがなされる可能性があり問題を含むものですが安定的な事業承継という観点からは検討されるべき選択肢の一つになります。