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取締役の報酬と差押禁止債権

顧問契約先やその他の企業関係者の方から従業員の給与を差押える債権差押命令の送達を受けたということでその取扱いについてのご相談をお受けすることがあります。従業員に対する給与債権等を差押える差押命令が会社に送達されますと従業員への弁済を禁止する効果が生じますので会社は従業員に対し給与等を支払うことはできなくなります。差押債権者は従業員に対し差押命令が送達された日から1週間を経過したときは債権を取り立てることができますので、会社としては差押債権者に弁済するか(民事執行法第155条)、供託(民事執行法第156条1項:権利供託)を行うことで債務を免れることができます。

ただし、差押えられた債権が給与債権である場合、差押の効果は原則として支払期に受ける給付の4分の1にとどまりますので、その範囲を超えて、弁済禁止効が生ずることはありません。これは、法が「給与、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権」についてその支払期における給付の4分の3に相当する部分を差押禁止の範囲にとどめていることによるものです(民事執行法第152条1項2号)。もっとも、標準的な世帯の必要経費を勘案して政令で定める額(民事執行法施行令第2条1項)を超えるときは超える額全額の差押えが可能とされていますので、その額を超過する場合は全額差押えが可能ですし、請求債権が婚姻費用や養育費等の金銭債権である場合には差押禁止債権の範囲が2分の1とされるとともに確定期限到来前の定期金債権についても差押えが可能とされていますので(民事執行法第152条3項、第151条の2)その取扱いには注意が必要です。詳細は、弁護士にご相談ください。

給与債権は差押禁止の範囲が4分の1に制限される差押禁止(制限)債権ですが、給与債権と異なり取締役の報酬債権は差押禁止債権とはなりませんので取締役の報酬は全額差押えが可能です。取締役の報酬は会社に対する委任契約上の報酬請求権に基づくものであり、雇用契約に基づく給与債権とはその性質を異にしますので、従業員に対する給与の確保等の政策的考慮は及びません。また、特に、地方では、会社の役員が地方議会の議員に就任している場合がありますが、議員の歳費請求権も全額差押えが可能で、議員に対し債権を有する方は、地方自治体が第三債務者となりますので安定的な債権回収が可能となります。取締役に就任されている方は対外的な信用を担保する観点からも報酬等が差押えられないように平素から着実な履行を心がけることが大切です。