相続は人の死亡により法律上、当然に開始し(民法882条)、法定相続人が被相続人の資産や負債を承継することになります。つまり、亡くなられた方から見れば、ご自身がその人生で懸命に築き上げられた資産が、ある日、突然、法定相続人に承継されることを意味します。
日頃から、父親に暴力を振るい、病床の世話もしない親不孝な息子がいても、その息子も法定相続人である以上、父親の資産は、原則として、その息子に承継されてしまいます。では、本当に法律上、息子に相続権が認められているからといって、父親は、遺産を親不孝な息子に承継させなければならないのでしょうか?
親不孝な息子に遺産を残したくない場合、その方法として、遺言書を作成し、遺言により、資産を息子以外の方に譲渡する方法があります。しかし、この方法では、その息子から遺留分を主張される可能性があるので、息子には遺産を1円たりとも渡したくないという方には不向きです。
このような場合には、「推定相続人の廃除」という手続きを家庭裁判所に請求し(民法第892条)、息子から相続権を剥奪してしまう方法があります。この「推定相続人の廃除」は遺言によってもできますが、法定相続人から相続権を剥奪する重要な行為ですので、その請求が認められるかどうかは慎重に検討がなされます。近年は児童虐待だけでなく、高齢者に対する虐待も多く聞かれます。遺産を特定の相続人に承継させることを希望されない方は、京都双葉法律事務所にご相談ください。