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事業者受難の時代に-契約の拘束力の低下-

消費者庁の設置や消費者契約法の施行等、個人消費者を保護するための法整備が進められ、従来では保護されなかった契約被害について、被害者救済の範囲が拡大しています。

契約は、その締結により契約当事者間に強い規範的拘束力が生じますので、特段の事情がない限り、一度、締結した契約の効力を否定することはできません。契約内容自体が社会妥当性を欠く為公序良俗に反するとか、契約締結に至る過程で詐欺や強迫を受け契約応諾の意思表示を行った等の事情が認められる場合には、従来からも契約の拘束力を否定することが認められていましたが、消費者契約法は、事業者が消費者契約の締結の勧誘に際し、消費者が事業者から重要事項について異なることを告げられ、告知内容が事実であると誤認し契約を締結した場合や物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価格、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供し、当該断定的判断の内容が確実であるとの認識のもとに契約を締結した場合等に契約を取消すことができるものとし(同法4条1項等)、契約の拘束力を否定する範囲を拡張し、個人消費者の保護を徹底しています(消費者契約法では、契約解除に伴う損害賠償額についても、同法第9条で、事業者に生ずべき平均的な損害額を超えるものについては超える部分と契約解除による損害額を限定していますが、平均的損害の立証等消費者にハードルが課されている場合もありその保護は充分ではなく課題が残されています)。

消費者契約法による契約の拘束力否定の範囲の拡大のほか、特定商取引に関する法律では、訪問販売契約や電話勧誘販売契約につき、いわゆるクーリングオフ(同法9条、24条)が認められており契約の拘束力は一層、弱いものとなっています。

消費者保護の法制もたしかに重要ではありますが、戦後、権利意識の高揚とともに約束を平気で反故にする等モラルの低下が拡大し、一度、締結した契約について特段の事情がないのに白紙撤回を求める我が儘な個人の存在も目立ちます。

私の経験では、契約締結過程に何ら問題がなく、契約締結から一週間も経過していないというのに説明が不充分だ等といって契約の白紙撤回を強引に求める方のケースに遭遇したことがあります。そんな気まぐれが本来許されるわけではないのですが、事業者は個人消費者との関係で意外と弱い立場に立たされることも多く、事業者受難の時代が到来しているのではと思わされることがしはしばあります。