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ご存知ですか?パブリシティ権

パブリシティ権という言葉を聞かれたことがある方はそれほど多くはないと思われます。パブリシティ権とは、人の氏名、肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、この顧客吸引力を排他的に利用する権利を指します。人格権としての氏名、肖像等が商業的側面で利用される場合に問題とされる権利です。例えば、著名な芸能人の肖像をカレンダーに掲載してカレンダーの販売を行なう場合、掲載された芸能人のパブリシティ権が問題となる余地があります。

このパブリシティ権と類似の権利にプライバシー権があります。今日、プライバシーという言葉は一般的に受け入れられていますが、古くはプライバシー権とはどのような権利であるかが問題とされ、特に人格権としての名誉権と混同誤認されることもありました。

英米法では、名誉の保護法制について、文書による名誉毀損をLibel、口頭による名誉毀損をSlanderといい、名誉毀損の形態により類別を設ける等充実した名誉権の保護法制を整備していましたが、風呂場の盗撮等名誉毀損の法制では保護し難い人格権侵害の類型があることが自覚され、「ひとりで居させてもらう権利( right to be let alone )として名誉権をいわば補充するものとしてプライバシー権が登場しました。その後、情報化社会の進展に伴い、プライバシー権は、ひとりで居させてもらう権利という消極的な権利から自己情報を制御する権利としての個人情報保護権として積極的な位置づけがなされることにより今日に至っています。我が国における「個人情報の保護に関する法律」「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の制定もこのようなプライバシー権の生成史と無縁ではありません。

プライバシー権と名誉権を未だに区別できない方もおられますが、我が国では、名誉権は原則として個人(法人等を含む)の社会的評価を保護する権利であり、不特定または多数の人に対し、個人の社会的評価を毀損する事実を摘示した場合に名誉毀損罪(刑法第230条)、不法行為(民法709条)を追及される余地がありその限度で保護されるのに対し、プライバシー権は個人が有する人格的価値のうち、その個人の社会的評価に関係なく保護されうるものです。そして、プライバシー権により保護されるプライバシーの範囲は時代の進展に伴い広範囲に理解され、生存する個人に関する情報で個人を特定・識別できる情報であればプライバシー権によって保護される余地があり(個人情報保護に関する法律第2条1項参照)、犯罪歴や病歴以外に学歴や住所等を含めその外延は大変広いものとなっていますし、名誉権侵害の場合と異なり特定かつ少数人に情報を漏洩した場合でもプライバシーの侵害となる可能性があります。

ですから、企業法務を担当されている方は、取引相手方の顧客だけでなく従業員等を含めプライバシーの侵害にわたらないよう個人情報の保護管理に充分配慮することが必要となります。

パブリシティ権は、このプライバシー権から派生する権利と認められなくはありませんが、プライバシー権とは異なる独自性を有します。