相続人が誰かということやその住所が判明し、相続人全員とコンタクトがとれ、いよいよ遺産分割協議を進めようとしていた矢先に、相続人の1人が不慮の事故により意識不明の重態になったとします。この場合、遺産分割協議をどのように進めればよいのでしょうか?
相続人の中に意識不明の重態になる等、判断能力に問題のある方がいる場合、判断能力を欠くか、または、不充分な方が参加してなされた遺産分割協議は無効となる可能性が高いですから、その方については成年後見人をたてる等の手当てが必要となります。家庭裁判所に成年後見人選任のための審判の申立てを行い、選任された成年後見人に遺産分割協議に参画してもらうことが必要となります。
調査をすると相続人が誰であるかということだけでなく、その相続人の住所も判明しますが、問題となるのは、その住所に相続人が住んでおられず行方が不明である場合です。
成年後見人が選任されるためには、裁判所の事務処理の状況によっても異なりますが、3ヶ月程度の時間が必要です。遺産分割協議を適法に進めるためには、この程度の時間は辛抱するしかないと思います(ただし、緊急の場合は、財産管理人を選任する方法があります)。相続人の判断能力が充分でないにもかかわらず、性急に遺産分割協議を進め、遺産分割協議書を作成しても、後日、協議の無効を主張される等、トラブルの元となりますから、禍根を後々残さないためにも法律上の手続きをしっかり踏むことが大切です。