駅はその街の玄関です。駅とその周辺を概観すれば、大抵、その街をある程度、把握することができます。駅に降りると駅の構内で様々な事業者の広告看板を目にしますが、医者の広告看板が多くを占めていることが多く、その光景を見て、この街は、とても病気持ちが多い不健康な街であると思うことがあります。
独断ではありますが、医者の選び方と弁護士の選び方にはある程度、共通する部分があると常々、思うことがあります。「藪医者の玄関」という格言は比較的、有名ですが、①第一に、医者を選ぶとき病院や診療所などの施設の豪華さで医者を選んではいけないという点です。最新鋭の医療機器等の施設内での設置の有無は別ですが、施設それ自体で医者を選んではいけないという点です。当然のことですが、医師の手腕と施設の豪華さは直接、関係がないからです。しかし、残念ながら、施設の豪華さといった「見栄え」に目を奪われる患者は今も昔も後を絶ちません。先人が箴言として残す言葉も教訓として後の世代に効果的に受け継がれていないのが現状です。
施設の豪華さだけでなく、広告や宣伝を積極的にしている医者も要注意です。優秀な医者は患者の内々の口コミで広がるものですし、本当に優秀な医者は人に紹介したくないものなのです。良いものは人に知らせず独占したいのが人情だからです。これは弁護士も同様です。事務所が立派であるとか、広告、宣伝を積極的にしている弁護士は要注意です。近年、詐欺事件や違法な債務整理等に加担する等、問題となっている弁護士も広告事業者と業務提携する等して、広告や宣伝を積極的に活用していたことが指摘されています。テレビやインターネットで広告している弁護士はハズレが多いです(弁護士に限らず、積極的な宣伝、広告している業者は概してハズレが多いです。)。これと関連して、弁護士会での会長や副会長等の役職の肩書もありますが、弁護士の名誉欲は別として、これらは弁護士の業務上の手腕と勿論、何ら関係がありません。
②第二に、何度も通院させる医者は避けるべきです。優秀な医者は、短期で患者を回復させるはずです。医者が患者を何度も通院させるのは、言うまでもなく儲けるためです。病気というものは、医者が治癒するものではなく、最終的には患者がその免疫力で治癒させるものです。優秀な医者は、短期で患者を回復させ、患者自身の自己回復力に後を委ね、通院を打ち切りますので(その意味で、無益な治療を行わないとして来院を拒否します。顧客を拒否するのですね。)、それほど儲かりません。皮肉ですが儲けてない医者ほど優秀なのかもしれません。
これは弁護士も同様です。弁護士の法律相談は、茶の世界と同様に、基本的には一期一会です。受任している依頼案件については、継続的なご対応を致しますし、顧問契約は、事業者に対する継続的サポートとしての継続的なリーガルアドバイスを目的としていますのでそれらは別として、弁護士との接点である法律相談は本来、一期一会で、相談に際して相談者が的確な情報を弁護士に提供している限り再相談は問題になりにくいのです。優秀な弁護士は限られた時間の中で相談者が満足するか否かにかかわらず端的かつ明確にズバリ見解を示すもので(その意味で、相談者が不快に思っても明確に見解を示す弁護士は長い目で見れば良い弁護士です。相談者の機嫌をとってそれなりの曖昧な回答しか述べない弁護士は、良い弁護士ではありません。弁護士業はサービス業であるとしても、そのサービスは特殊で、一般的なサービス業ではありません。)、時間を不毛に費消し、相談者にとっても費用の無駄となる無意味な相談に繰り返し対応することはありません。ある意味で、行列ができる弁護士ではなく、無益な客を断る弁護士ほど優秀です。そうすると儲からないかも知れませんが、これも医者と類似する部分があります。
③第三に、通院させるたびに得体の知れない薬をたくさん渡す医者は要注意です。薬をたくさん渡せば医者は儲かるのかも知れませんが、薬には多かれ少なかれ副作用もありますので渡す薬を厳選し、最小限に抑制するのが良い医者です。何度も通院させてそのたびにたくさん薬を渡す医者は選択肢から除外することを検討すべき医者です。人当たりの良さだけで騙されてはいけません。
弁護士は薬を依頼者に渡すことはありませんので、この点は医者と同様ではありません。弁護士の本来の役割は、法的紛争を解決することであり、その主要な活動は、裁判手続の代理事務です。それは医者でいえばメスを握る外科医のようなものです。手腕のある弁護士は、裁判手続で勝訴の実績がある弁護士ですが、訴訟の勝訴率を広告することは弁護士会の規程で禁止されています。従って、依頼を検討されている方は、手腕のある弁護士を探し求めることが困難なのです。そこで事務所の豪華さや宣伝・広告(ステルス広告もあるかも知れませんが、これは違法です。)等の見栄えや頼りない人の口コミで選択するのが通常です(弁護士から特定の弁護士を紹介されることもありますが、手腕とは関係なく、大概は、弁護士が互いに仲いい子ちゃん同士であることが殆どでしょう。)。
勝訴率を広告することができないは、民事・商事の訴訟等では、和解による解決も多く、勝訴率を的確に計上できないことにもよります。しかし、刑事事件の場合は、和解はありませんし、日本の刑事裁判は、起訴された事件は99パーセントが有罪となります。従って、手腕のある弁護士であるかどうかのメールクマールは、無罪判決をどの程度、過去の経歴で獲得した実績をその弁護士が持っているかどうかが一つの目安となります(弁護団ではなく、弁護士が単独で裁判を担当したもので、特に、実質的にボランティアである国選弁護人として無罪判決を獲得した実績があるかは、その弁護士の手腕を判断する有力な一つの指標です。)。
無罪判決の獲得といっても「下手の鉄砲数打ちゃ当たる」ではありませんが、長年、弁護士の職務に従事し、刑事事件を数多く扱えば、無罪判決を獲得する確率も高まりますので、あまり参考になりません。その弁護士が弁護士として登録後3年以内、遅くとも5年以内に複数の無罪判決(1件ぐらいはまぐれであります。)を獲得されていれば、その弁護士は有能な弁護士である可能性があり、民事・商事等を含めて有力な戦力となる可能性があり、有望な選択肢となるでしょう(キャリアが長くなれば、弁護士はあまり刑事事件を取り扱わなくなりますので、登録初期の段階での獲得実績が重要です。)。そういう弁護士は、概して、テレビやインターネット、SNS上で目立って登場することは勿論、ありませんので、慧眼のある依頼者だけが正に「幸運にいざなわれて」たどり着くものです。人生は「邂逅(出会い)」であると言われますが、まさしく「邂逅」そのものです。貴方の弁護士に登録後3年以内で何件ほど無罪判決を獲得したか聞いてみられると良いでしょう。大概の弁護士は沈黙するでしょう。「沈黙は金」とはこういうことを言うものです。
当法律事務所は、個人情報の保護に関する法律及びこれに関連する政令、ガイドラインを誠実に遵守し、提供された個人情報を適切に保護致します。
当サイトにおいて提供を受けた個人情報は、法律相談及びこれに基づく法律事務の範囲でのみ利用するものとし、当サイトにおいて表示する当法律事務所の役務において提供を受けた個人情報については、提供者が提供の際、明示の反対の意思を表示されない限り、当該役務遂行の目的の範囲で当法律事務所が当該個人情報を利用することについて同意されたものとみなします。
当法律事務所は、法律相談及び法律事務を承るに際し、犯罪収益の移転及び資金洗浄防止の目的で、法人、個人の身分確認のため必要な個人情報を含む身分確認情報のご提供を求めることがあります。この目的で取得した個人情報については、前記目的の範囲に属するものと致します。
個人情報提供者が、当法律事務所の内規において定められた保存期間内で、当法律事務所が保存している当該提供者の個人情報について開示等の請求をされる場合は、当法律事務所所定の手数料及び個人情報提供者の身分確認のための資料をご提出いただく必要があります。この資料は、開示等請求者の身分確認のためにのみ使用し、開示等の後は速やかに破棄致します。