HOME > 『債権回収及び債務整理について』 > 『徹底的に追及できます-非免責債権-』

徹底的に追及できます-非免責債権-

Claims

国家は債務者に優しい?というタイトルで破産免責について触れました。裁量免責が広範囲に認められることから債務者が破産制度を利用して債務を免れるケースが多く、債権者の債権回収が頓挫する場合が往々にして存在することをご説明しました。

通勤電車の広告やインターネットを見ると、債務者に対し債務の任意整理や破産を薦める弁護士や司法書士の存在が目立ちます。たしかに、債務者には人間関係の「しがらみ」から保証人になってしまった方等様々な事情で債務を負ってしまわれた方もおられ、その方やご家族の経済的更正を図るために個人債務の免責を認める破産手続上の免責制度は極めて重要な制度です。破産免責の制度や相続放棄の制度がなければ、負債が子々孫々に承継されることになり、奴隷制度を認める結果につながりかねません。私法上の権利主体になる能力を権利能力といい、権利能力が認められることで人は様々な契約を締結することが可能となります。今では、人であれば権利能力が認められることは当然と理解されていますが、古くは、権利能力を全面的に否定された人がおり、それが奴隷でした。奴隷は戦争捕虜や借金の返済が不能となった人が供給源であり、特に債務の返済が不能になり奴隷的身分になった人を債務奴隷といいます。破産免責は債務者が経済的更正を図り、自由な人格を維持するため不可欠な制度ですが、安易な破産免責は債権者に不当な犠牲を強いる結果となります。

そこで、破産法は政策的に破産免責を認めることが相当でない債権を非免責債権とし、免責許可決定の効果が及ばない債権を規定しています(破産法第253条1項)。非免責債権に該当しますと、免責許可決定の効果が及びませんので、理論的には原則として債務が時効により消滅するまで徹底的に債権の回収が可能となります。非免責債権としては婚姻費用の支払請求権や養育費請求権等が法定されていますが、特に解釈上、問題となるのは悪意の不法行為に基づく損害賠償請求権や(同法1項2号)故意又は重過失による人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権です(同法1項3号)。実務上、問題になる事案としては、交通事故で人身被害を受けた方の損害賠償請求権がありますが、加害者に通常の過失しか認められないケースではその損害賠償請求権は非免責債権に該当しないと考えられるため破産免責が認められる余地があり、加害者が任意保険を付保していない場合は勿論、自賠責保険に加入すらしていないケースでは被害債権者の救済は大変、厳しい結果となります。

債権回収について法律相談を希望される方 → 法律相談のページへ
京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
京都府長岡京市滝ノ町1丁目5-14 TEL:075-950-0648
ページトップへ
個人情報取扱いの指針

当法律事務所は、個人情報の保護に関する法律及びこれに関連する政令、ガイドラインを誠実に遵守し、提供された個人情報を適切に保護致します。

当サイトにおいて提供を受けた個人情報は、法律相談及びこれに基づく法律事務の範囲でのみ利用するものとし、当サイトにおいて表示する当法律事務所の役務において提供を受けた個人情報については、提供者が提供の際、明示の反対の意思を表示されない限り、当該役務遂行の目的の範囲で当法律事務所が当該個人情報を利用することについて同意されたものとみなします。

当法律事務所は、法律相談及び法律事務を承るに際し、犯罪収益の移転及び資金洗浄防止の目的で、法人、個人の身分確認のため必要な個人情報を含む身分確認情報のご提供を求めることがあります。この目的で取得した個人情報については、前記目的の範囲に属するものと致します。

個人情報提供者が、当法律事務所の内規において定められた保存期間内で、当法律事務所が保存している当該提供者の個人情報について開示等の請求をされる場合は、当法律事務所所定の手数料及び個人情報提供者の身分確認のための資料をご提出いただく必要があります。この資料は、開示等請求者の身分確認のためにのみ使用し、開示等の後は速やかに破棄致します。