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長岡京に降る雪は…借地から飛び出した春の竹の子?

Real Estate

平成24年は年初以来、本当に寒く「地球温暖化って嘘やろ」と思う日が少なくありません。長岡京市、向日市、大山崎町の京都府西部地域を乙訓(おとくに)といいますが、この地域では例年、ほとんど降雪はないのですが、今年は、例年になく雪が舞い散る日が散見されます。いにしえの長岡京をふるさととするこの私も「こんなに雪が舞い散る年はここ最近、めずらしいなぁ」と思うほど西山連峰から風に流されて舞う雪の日の多さに驚いている次第です。

他方で、長岡京市の花でもある菜花が田畑に咲きはじめ、向日市内にある竹の径近くの竹薮からウグイスのさえずる声が聞こえると春の訪れを感じます。

長岡京といえば知る人ぞ知る竹の子の名産地です。かぐや姫で有名な「竹取物語」は長岡京市か京都府八幡市がそのモデルの地であると言われています。長岡京をはじめ乙訓の竹の子は竹の子農家さんがこの寒い冬場に竹の子が顔を出す赤土にわらを敷き土壌の温度を調節し、養分を与え丹精こめて育てられあげたものです。

私の幼少の頃とは異なり、今ではすっかり竹林も減り、カブトムシやクワガタムシも見かけなくなりましたが、長岡京は元来、竹林が多く、竹林を開発、整地して住宅を建設しているという感があります。隣接する地が竹林であるところもあり、時に地下茎である竹が越境し敷地内から竹の子が姿を現すことも。

では、ここで頭の体操。越境し借地から飛び出した竹の子は一体、誰のものでしょうか?地主である賃貸人のものそれとも借りている借地人のもの?また、竹の子が竹になっては食べられないと思い借地人が竹の子を切り取ったら法律に触れるのでしょうか?

難しい問題ですがやはり竹の子の所有権は越境先の竹薮の所有者にあると考えるのが妥当ではないかと思います。他方、竹の子を借地人が切り取る行為に違法性はありません。民法という法律では「隣地の竹木の根が境界線を越えるときはその根を切り取ることができる」と規定しています(民法233条第2項)。ですから顔を出した竹の子を切り取っても違法ではありません(※地下茎は厳密には根ではないので同条同項の適用がないとも考えられますが、さりとて竹の子が枝とは思えませんので現在、私は竹の子を「竹木の根」と理解しています)。

このような微笑ましい竹の子であればまだ深刻ではありませんが、竹の子が次から次へと隣地を侵食するほど姿を現し、成長した竹木が竹害として問題となっている地域も全国にはあると聞いています。この場合、隣地所有者との間で協議し、竹の除去を要請することになるでしょう。

借地人さんが切り取った竹の子ですが、竹薮のオーナーの同意を得て竹の子をもらったとしても食べるのはお勧めしません。なぜお勧めしないって?その理由は乙訓で育った人ならすぐわかるはずなんです。

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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
京都府長岡京市滝ノ町1丁目5-14 TEL:075-950-0648
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