犯罪の被害を受けられた方にとって最も望ましい救済手段は原状回復です。しかし、犯罪行為により生命や身体を害された被害者の方を犯罪行為以前の状態に回復することは不可能ないし著しく困難であって、被害者救済の方法は、結果的には、金銭的救済という限られた選択肢に限定されることになります。加害者がいくら謝罪をしたとしても被害者の心が慰謝され、回復することは難しいでしょうからせめてもの償いとして被害者に対し充分な金銭的補償がなされる必要性は大きいものがあります。
この被害者に発生した金銭的被害の填補は、民事不法行為に基づく損害賠償制度(民法709条以下)のなかで解決されるべき問題ですが、加害者の資力が充分でない場合は加害者に対し訴訟提起を行い、勝訴判決を得たとしても、現実に被害救済がなされる保証はありません。
そこで我が国では、「犯罪被害者の給付金の支給等による犯罪被害者の支援に関する法律」によって、犯罪被害者の方に対する国家的な一定の救済策が講じられています。
同法では、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為を犯罪行為と定義し(同法第2条1項)、犯罪行為により死亡、重傷病又は障害を受けた場合に、遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金の犯罪被害者等給付金を取得することができる旨を規定しています(同法第3条)。給付金は、日本国籍がなくても日本国内に住所を有する場合には、その取得が認められますので、例えば、日本国内に住所を有する在日外国人の方も給付金を取得することが可能です。
給付金の取得を求める場合には、原則として、犯罪行為による死亡、重傷病若しくは障害の発生を知った日から2年以内に申請者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に裁定の申請を行わなければなりません(同法10条)。
同法では、「重傷病」について負傷や疾病の療養期間が1月以上その他政令で定める要件を満たさない限り重傷病とは認定されませんので軽微な傷害行為の被害者の方は同法により救済されることはありません。また、被害者と加害者とが親族関係にある場合には同法の適用がありませんので、家庭内における親族間での児童虐待や高齢者虐待等の問題については救済がなされません。更に、同法は犯罪行為について過失犯を除外していますので、交通事故の被害者の方は通常、同法により救済されず、加害者が任意保険はもとより自賠責保険にも加入していないような自転車運転者の事故事案では、自転車事故により重度障害の被害を受けられた方の救済は大変、厳しいものとなります。給付金の支給を受けることができる場合でも支給の範囲が限定されておりますので同法による保護には限界があり課題が残されています。
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