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下請業者の下請代金の保護について

Corporate Law

経済競争は熾烈なサバイバルであり、資本関係その他の社会力学関係により力関係において劣位にある業者が不当な取扱いを受けることも少なくはありません。公正な経済競争を確保するため国家は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」を制定し、公正取引委員会を設置してその監視に努めていますが、同法との関係で、力関係で劣位に立つ業者の保護の観点から特に注目すべきは公正取引委員会の一般指定である「不公正な取引方法」です。この不公正な取引方法に関しては詳しく別稿で触れるとして、本稿では、力関係で劣位にある下請業者を保護する法制についてご説明いたします。

事業の下請を行う下請業者にとり最も大切なことは下請代金の確保です。実際取引において、下請業者が元請業者から長期サイトで割引の困難な約束手形を代金の支払いとして交付され泣かされることがあるということを聞いていますが、資金繰りの潤沢ではない中小の零細業者が下請代金の円滑な確保ができないことは死活問題であることは言うまでもありません。

そこで、下請代金支払遅延等防止法では、親事業者が下請事業者に対し製造委託等をした場合には直ちに公正取引委員会規則で定めるところにより下請業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法等その他の事項を記載した書面を下請業者に交付しなければならないと定め(同法3条)、また,代金の支払期日については、親事業者は、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は役務を提供した日)から起算して60日の期間内において、かつできるだけ短い期間内において定められなければならないものとし、下請事業者の下請代金が早期に現実化されるべく配慮しています。下請代金の保護のため親事業者の正当な理由を欠く給付の受領拒否や代金の減額等を禁止しており(同法4条)、保護の徹底を図っています。

親事業者が、支払時期に代金を支払わない場合は、下請事業者が給付を受領した日(役務提供委託の場合は役務を提供した日)から起算して60日を経過した日から支払いがなされるまでの期間について、その日数に応じ未払金額に公正取引委員会規則で定める率(平成24年1月現在14.6%)を乗じた遅延利息の支払義務が生じます。

もっとも、この法律の適用があるためには委託事業に応じて親事業者や下請事業者の資本金額が一定の額であることを要したり、建設業者が除外される場合がある等その適用が限定されていますので注意が必要です。

下請代金支払遅延等防止法は、法改正により下請事業者を中小受託事業者、親事業者を委託事業者等に変更する等、その用語や内容が変更されています。改正法は、令和8年1月1日から施行の予定です。

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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
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