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『企業法務・労働問題・知的財産について』
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個人情報の保護とプライバシーその①
Corporate Law
「個人情報の保護に関する法律」が制定され、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述により特定の個人を識別できる情報及び個人識別符号が含まれるものは「個人情報」とされ(同法第2条1項)、個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに際し、その利用目的をできる限り特定することが要請されるとともに(同法第17条1項)、原則として、個人情報により識別される特定の個人の事前の同意を得ることなく利用目的の範囲を超えて個人情報を取り扱うことが禁止されています(同法第18条1項)。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合には、予めその利用目的を公表している場合を除き、速やかにその利用目的を個人情報により識別される特定の個人に対し通知し又は公表しなければなりません(同法第21条1項)。
個人情報取扱事業者は、個人情報により識別される特定の個人から個人データの開示を求められたときは原則としてその開示を行わなければなりませんし(同法第33条)、個人データの内容が事実でないという理由で保有個人データの訂正等を求められた場合には、原則として遅滞なく調査を行い保有個人データの内容について訂正等を行わなければなりません(同法第34条1項及び2項)。また、訂正等の措置をとった場合、あるいは訂正等を行わない旨を決定したときはその旨を本人に通知しなければならず(同法第34条3項)、措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合にはその理由を説明する努力が求められています(同法第36条)。
個人情報の保護に関する法律は、個人情報取扱事業者に対し個人情報の利用目的に即した厳正な取り扱いを要請し氏名や生年月日、住所等生存する特定の個人を識別可能な個人情報の保護を図っています。
個人情報の保護に関する法律によって保護される「個人情報」はプライバシー権によって保護される「プライバシー」に類似するところがありますが、厳密には両者は異なるものです。しかし、「ご存知ですか?パブリシティ権」のタイトルの項でご説明いたしましたが、個人情報の保護に関する法律によって保護される個人情報保護の趨勢もその生成史を見ればプライバシーとまったく無縁であるというわけではなく、当該個人情報が時代の進展とともにプライバシー権を構成するプライバシーに包摂され、プライバシー権を構成することもありえます。プライバシー権はそもそもその外延が不透明な権利であり、プライバシー権によって保護の対象とされるプライバシーも時代の進展とともに生成され、確証されるものですので、個人情報として取り扱われていた個人情報がプライバシー権を構成するプライバシーとみなされプライバシー権に包摂されることは充分ありうることです。
これはドイツで議論された一般的人格権に対する理解と類似するところがあります。ドイツではその外延が不透明な一般的人格権の概念を承認するかどうかに関し久しく学説上の論争があり、一般的人格権に包摂される人格的価値についてもその内実について議論がありましたが、今日、一般的人格権は承認されるに至っています。ただ、この一般的人格権と個別的人格権の関係については我が国においても未だに充分な法理論上の体系的理解が形成されておらず、実務家の理解にも混乱が認められるのが実情です。
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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
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