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本当に必要?私選弁護人を選任するのはこんな時だけです!

Criminal Defense

刑事弁護人には、被疑者(警察、検察から犯罪の嫌疑を受け捜査の対象とされている人で、テレビでは容疑者と呼ばれることか多いです。逮捕されなくても嫌疑を受けている人は被疑者です。)、あるいは被告人(被疑者は起訴されると被告人と呼ばれます。)及びそのご家族の方等から依頼され、弁護士と委任契約を締結することで選任される私選弁護人と裁判所(裁判官)の命令により選任される国選弁護人とがあります。

私選弁護人が本来の姿なのですが、私選弁護人を選任するためには、弁護士と委任契約を締結するに際し、多額の弁護士報酬を支払わなければならないことが多く、その資力の乏しい被疑者・被告人が多いのが実情で、多くの場合、国家の公的資金で報酬が支払われる国選弁護人が刑事弁護人の大半を占めているのが実際です。

国選弁護人の報酬が極めて低廉で、真面目に活動すればするほどボランティア的要素が色濃くなることから弁護活動が低調になる弁護士がいることは仄聞するところですが(これは、個々の弁護士の問題というよりも法務官僚による国選弁護制度の制度設計の在り方にも問題がありますが、日本の現況を見る限り、恐らく、改善されることはないでしょう。)、真摯に対応し、積極的に弁護活動を実践する国選弁護人も存在しますので、必ずしも私選弁護人が良質で、国選弁護人が低質というわけではありません。

刑事訴訟法の逐次の改正により、従来は、起訴後の被告人だけに付されていた国選弁護人が、一定の犯罪の被疑者に拡大され、起訴前の被疑者段階でも国選弁護人が付されるようになり、現在では、勾留されたすべて被疑者に対し、国選弁護人が付されるようになりましたので、身柄を拘束された被疑者の方には、国選弁護人が付されることになっています。そのため慌てて私選弁護人を選任しなくても国選弁護人が原則として選任されますので、国選弁護人に被疑者と接見(被疑者・被告人との面会を「接見」といいます。)してもらったり、被害者との示談等の弁護活動を被疑者の段階でも行ってもらうことが可能です。

但し、そうはいっても、以下の場合は、私選弁護人を選任された方が望ましいでしょう。

1 被疑者・被告人が無罪を主張されている事案の場合
この場合は、国選弁護人の予算が著しく低廉で、反証のための活動が充分、できないこともありますが(検察、警察側は相当な額の税金でその活動が保証されており、国選弁護人に支払われる低廉な報酬と比較してその額に格段の差異があります。軍資金が違うということですね。)、何よりも、国選弁護人は、審級限りですので、原則として一審を担当した国選弁護人は、被告事件が控訴、上告されても、控訴審や上告審を担当することはありません。有罪・無罪が裁判官の価値判断によって分かれる微妙なケースでは、事案や争点を充分、理解しており、被疑者・被告人の方と高度に信頼関係のある一審の弁護人が継続して上訴審を担当することが望ましい場合もあり、特に、無罪を主張されている事案では、この点が一層、妥当するのですが、審級限りの国選弁護制度には限界があります。合理的な根拠に基づいて徹底して無罪を主張されている被疑者の方及びそのご家族の方は、無罪判決獲得の実績のある弁護士や平素から懇親があり、信頼があって、親身な活動を期待できる弁護士等を当初から私選弁護人として選任されることが望ましいでしょう。

2 お知り合いの弁護士がおられ、その弁護士に弁護人になってもらいたい場合
かかりつけの医師がいるように、法的問題に直面されたとき馴染みのあるかかりつけの弁護士がいれば即時の対応も可能で強い味方となります。刑事事件に限らず、すべての裁判手続において、平素から貴方やそのご家族のことをよくご存知の弁護士がおられるのでしたら懸命に紛争の解決に取り組んでくれるはずです。

3 もう一つありますが、これはいずれ次回の講釈で。国選弁護人の対応で悩んでおられる等、関心がある方は法律相談の際にお尋ねください。

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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
京都府長岡京市滝ノ町1丁目5-14 TEL:075-950-0648
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