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国際相続―海外からの相続関係書類―
Inheritance
日本政府が政策として推奨するインバウンド政策の影響もあり、私が生まれた京都の祇園界隈では、外国人の姿が多くみられます。
オーバーツーリズムの弊害や外国人による治安の悪化も指摘されていますが、日本政府による実効性のある対策は実施されておらず、課題が残されているようです。
国際結婚が増加したと指摘されて久しいですが、実際的には、日本人の国際結婚の割合は婚姻数全体の中ではそれほど多いわけではありません。
企業経済活動の側面ではグローバル化が指摘されていますが、家族関係のグローバル化には抵抗感が大きいというのが日本人の実際のところらしく、国際結婚の数が総体的に少ないことは島国で暮らす日本人の特性を表しているのかも知れません。
日本人のなかには、国際結婚をされる等の様々な理由で国籍を変更される方がおられますが、日本の国籍法は、二重国籍を認めていませんので(国籍法第11条、第12条、第14条等)、外国国籍を取得した場合には日本国籍を失うのが通常です。
そこで、親族が国際結婚をされる等の理由により、親族に外国籍をお持ちの方がおられる場合、ある日、突然、海外から外国籍を持っている親族の相続関係の書類と思われる書簡が送付されてくる場合があります。
外国語で書かれた意味不明の書簡が送付されてきた場合でも慌てる必要はありません。
その対処方法は次のとおりです。
その書類が外国籍を取得した親族の書類であることは何となくわかったとしても、慌てて法律事務所へ相談に赴かれるのではなく、まずは、その文書を正確に翻訳しその内容を精査、確認することが大切です。
英語で記載された文書であれば、英語の語学力に充分、長けている方に翻訳してもらうべきですし、中国語であれば中国語の語学力に長けている方に翻訳を求めるべきでしょう。
弁護士は、語学力を充分、身につけていない人が多いので、お近くの法律事務所にすぐに相談に赴かれることは有益ではありません。
外国関連の法律文書は、外国語の語学力だけではなく、外国法令の知識を求められることがありますので、法律事務所に相談に赴かれたり、翻訳を依頼される場合には、渉外事件を積極的に取り扱っている法律事務所に行かれ、ご相談されたり、翻訳を求められるのが効果的です。
次に、その文書に関する法律判断です。「在日外国人の方の相続・遺言」のタイトルでご説明いたしましたとおり、被相続人(亡くなられた方)が外国籍を有する場合や遺言者が外国籍である場合の相続に関わる諸問題、方式を除く遺言の成立及び効力に関わるすべての法律問題は、被相続人・遺言者が国籍を有する国(遺言の場合は、遺言当時)の法律に従って判断されますから、例えば、アメリカ国籍をお持ちの方のご親族について、その方が他界されたということでアメリカから相続に関する法律関係の文書が送付されてきた場合は、アメリカ合衆国法(実際には、準際私法に従い他界された方が生活されていた州の州法が適用される可能性がありますが)の法律に従い、送付されてきた文書に関する法律判断を行うことになります。
その書類が外国法令上のどのような規定に基づき送付されてきた文書であるのかといった判断や今後の法的対処方法、反致の適用による日本法の適用の可能性や我が国における判決の承認の可能性等、外国法の理解に精通した弁護士に相談しその助言を求めることが必要となります。
シンガポールから送付されてきた文書でしたらシンガポールの相続法に詳しい弁護士に、タイ王国から送付されてきた文書であれはタイ王国の相続法に詳しい弁護士に相談されるべきです。
アメリカ合衆国や中華人民共和国、大韓民国等の法令に詳しい弁護士を見つけることは、比較的、困難なことではありませんが、中東やアフリカ諸国等となるとその法律に精通している弁護士は殆ど稀といっても良く、弁護士会を含めた我が国の渉外的法律事務における問題解決能力とその体制はまだまだ課題が山積しているのが実情で、日本の固有の伝統文化の維持、承継や外国人の急激な流入による紛争の解決の整備等、課題が残されるなかで、摩擦緩和のための実効的な施策を未だ伴わない日本政府とマスコミによるインバウンド政策だけがかけ声として先行している感を払拭できません。
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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
京都府長岡京市滝ノ町1丁目5-14 TEL:075-950-0648
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