知財戦略のなかでもブランド戦略は企業の業績を大きく左右する重要な課題であり、ブランドが表わす信用の蓄積のため日々、心血を注がれる企業経営者の方も多いと思われます。
ブランドというものが人の心に与える心理的影響は軽視できないもので、幕末、鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜率いる幕府軍が薩長の連合軍に敗北したことは有名な史実ですが、この際、薩長の連合軍は「錦の御旗」を掲げ幕府軍に立ち向かいました。俊才として知られた尊皇派の徳川慶喜はこの錦の御旗を見て動揺し、大坂(大阪)へ退却、部下を残して一夜のうちに江戸まで海路、遁走したことは周知の事実です。しかし、この錦の御旗、薩長軍が明治天皇の許可なく使用したものといわれていますが、尊皇派の徳川慶喜に与えたインパクトは大きかったようで、幕末から明治の幕開けの歴史の転換にブランド戦略が関係していたことも見逃してはならない史実でしょう。
ブランド戦略として最も重要なものが商標です。商標法は「「商標」とは、人の知覚によって認識できるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であって次に掲げるものをいう。と規定し(商標法第2条第1項)、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標、音商標(音商標以外に、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、位置商標等が法改正で付加されました。)等を商標形式として認めていますが、規定を欠くものを商標形式として認めていません。従って、香りや味を商標登録することは、我が国においては、現在(令和7年)、認められていません。従って、例えば、香りを商標登録することは我が国においては認められていません。
商標法は、先願主義(商標法第8条)を採用していますから、先に登録を受けた者が登録を受けた標章を独占的に使用する権利が認められます。ですから、無効審判請求(商標法第46条)により商標登録を無効とする審決が確定するとか、不使用取消審判請求(商標法第50条)により取消される等の事情がない限り、登録を受けた商標権者はその標章に対する独占権を国家によって認められていることになります。
しかし、例えば、図形商標やその他結合商標等の場合には、その登録した標章に意匠権等の他の知的財産権が既に成立している場合があります。この場合、商標法では、「商標権者は…商標登録出願の日前の出願に係る他人の…意匠権と抵触するときは…抵触する部分について…登録商標を使用することができない。」と規定し、双方の権利の調整を図っています(商標法第29条)。この規定により、商標権と抵触する意匠権が商標登録出願前に出願されていた場合には抵触する限度で商標の使用が認められなくなります。意匠権の場合には出願という明確な行為があるため出願の先後関係は比較的明確ですが、標章に著作権が成立する場合には、著作権がいつ成立したかが明確でないため問題となることがあります。商標権者からみれば、著作権は思わぬ伏兵ですが、著作権者からみれば、商標権者との間で著作物に対する権利を制限されかねないわけですから深刻です。著作権を主張される方は、その成立時期を後日、明確にできるよう工夫が必要です。知的財産権相互の関係について詳しくお知りになりたい方は京都双葉法律事務所に是非、ご相談ください。
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