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企業法務とクレーム対策―お客様は神様ではありません-
Corporate Law
懐かしい昭和時代に「お客様は神様です。」というフレーズが流行しましたが、モンスタークレーマーやカスタマーハラスメントの存在が今日、指摘されている事実からお分かりのとおり、お客様にも色々あり、問題顧客の対策は、ビジネスにおいて回避し難い重要な課題であり、真面目に、誠実に、日々、ビジネスに真剣に取り組まれている経営者の方ほど顧客のクレーム対応に苦悩されている方は多いと思われます。
顧客のクレームに対する対応としては、第一に、クレームを申し向ける顧客あるいはその者(商品やサービスの正当な対価を支払っていない段階では、顧客とも言えません。)の素性を特定することが大切で、これはその後の対応の布石となるもので、非常に重要です。
氏名、住所、連絡先電話番号等で、何人がクレームを申し向けているのかを特定し、商品やサービスの正当な受益者であるかどうかを確認してください。
逆に、素性が明確でない、あるいは素性を明らかにしない者に対しては速やかに対応を拒絶することも一つの賢明な選択肢です。
次に、クレームの内容が提供した商品やサービスと関連するものであるかどうかを確認し、商品やサービスに関する一定の客観的事実を述べているものか、あるいはそれらに対する主観的な評価を述べるに過ぎないものかを「丁寧にヒアリング」し、峻別することが大切です。
「二度聞いて一度物を言え」の格言ではありませんが、この段階では丁寧なヒアリングによる事実関係の確認が大切であり、ヒアリングの結果、前者の場合は、その客観的事実が合理的な根拠(証拠)に裏付けられたものであるかどうかを確認する必要があります。
自社の商品やサービスと関連する裏付けのある客観的な事実関係のクレームである場合、それに対し対応すべき法的義務があるか、あるとしてどのような方法が適切と考えられるかを顧問弁護士に迅速に確認し、その対応について的確なリーガルアドバイスを受けることが大切で、現場の従業員にその対応を一任したり、経営者の独断で対応することは、後日、深刻な法的トラブルを招くことも考えられますので避けるべきです。
経営者としては、従業員を含めクレーム対応に関するコンプライアンス研修を社内で定期的に実施する等して、法的な対応の問題についても平素からトレーニングを重ね、ある程度の基本的な対応策を確立しておくこともクレームに対する迅速かつ実効的な対応を図るうえで望ましいことです。
客観的な事実関係のクレームに裏付けがない場合やクレームの内容が、顧客の独自の主観的な評価を述べるに過ぎないものである場合は(クレームが顧客の主観的な評価の場合は、クレームではなく、マーケットにおけるモニタリング等で商品やサービスに関する意見を収集する方がより効果的ではないかと思われます。)、どの範囲で対応するかは経営判断の問題となりますが、特定の従業員の裁量に一任することは適切ではなく、この点も顧問弁護士と協議し、一定の対応方針を予め確立されることが望ましいでしょう。
法人企業を含め事業者に対する不当要求は、以前は、暴力団員(反社会勢力)によるものがクローズアップされていましたが、思慮の乏しい独善的な一般市民による一方的な不当要求や泡沫苦情も多く、その対応に無為な時間や費用の費消を余儀なくされたり、経営者、従業員に過度の心理的負担を与える等、看過し難い弊害を生じさせることがありますので、必要に応じて、信用毀損罪、威力業務妨害罪(刑法第233条、234条)等、刑事告訴や被害届の提出、民事不法行為(民法709条)による顧客に対する法的責任の追及等(第一に素性確認が必要なのはこのためです!)、凛然とした徹底的対応で対処することが肝要となります。
お客様は神様である等といった発想は、完璧な誤解なのです。顧客も様々です。
物を見る眼、人(客)を見る眼、慧眼を持つことが大切です!
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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
京都府長岡京市滝ノ町1丁目5-14 TEL:075-950-0648
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