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『不動産の売買・賃貸借について』
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宅地建物取引業者の法的責任とその厳格性
Real Estate
不動産業者は宅地建物取引業者として宅地建物取引業法に基づき宅地、建物等の売買、交換のほか、売買、交換、賃貸借の代理、媒介を業として行います。宅地建物取引業法は、「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。」と規定し(宅地建物取引業法第31条1項)、宅地建物取引業者に対し、その業務の処理に際して、取引関係者に対する信義誠実の原則を励行すべきこと明らかにしています。
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換、若しくは賃借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは賃借の各当事者に対し、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は賃借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして宅地建物取引業法第35条所定の事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して説明させることが義務付けられています(宅地建物取引業法第35条1項)。取引主任者は、説明に際し、説明の相手方に対し取引主任者証を提示しなければならず(宅地建物取引業法第35条4項)、取引主任者は書面の交付に際しては当該書面に記名押印することが求められています(宅地建物取引業法第35条5項)。
重要事項説明書の記載に不備がある場合や重要事項説明書の記載に誤りがあるため、宅地や建物の契約当事者に損害が発生した場合、契約当事者は不動産業者に対し説明義務違反を理由にその損害の賠償を求めることが可能となります。宅地建物取引業者との間で売買等の契約を締結した相手方や宅地建物取引業者に対し宅地や建物の売買等を依頼した依頼者は、宅地建物取引業者との間で売買等の各種契約関係が認められますから、契約の当事者として、宅地建物取引業者に対し、契約上の説明義務違反を理由に損害賠償請求等を求めることが可能となります。他方、甲が宅地建物取引業者Aにその所有物件の売却先を探すためAとの間で媒介契約を締結し、乙が媒介契約を締結した宅地建物取引業者Bを利用して甲から当該物件を購入したところ、重要事項説明書の記載に誤りがあり、損害を被ったとして損害賠償責任を追及する場合、買主である乙は、媒介契約を締結したBに対し契約上の説明義務違反を理由に損害賠償責任を追及することができますが、契約関係のない宅地建物取引業者Aに対してもその説明義務違反を理由に不法行為に基づく損害賠償責任を追及できる余地があります。宅地建物取引業者であるAは、甲との間で媒介契約を締結しており、乙との関係で契約関係はありませんが、宅地建物取引業法第31条1項が取引関係者に対する信義誠実を要請していることや、同法第35条1項が、「媒介に係る……各当事者に」説明を要請している点に鑑みるとAはその責任を免れないものと考えられます。最高裁は委託を受けない宅地建物取引業者の注意義務に関して不動産仲介業者は、直接の委託関係はなくても、これらの業者の介入を信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽について各別に注意する等の業務上の注意義務が認められるとする原審の判断を是認する判示をしており(最高裁昭和36年5月26日第二小法廷判決)、委託の有無にかかわらず宅地建物取引業者に取引関係者に対するプロフェッションとしての重い責任を認めています。
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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
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