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原状回復の範囲は明確に!

Real Estate

建物賃貸借契約に関するトラブルのなかで比較的多いトラブルの一つが、原状回復義務に関するトラブルです。建物賃貸借契約の終了に際し、賃借人の原状回復義務を規定する契約書は多く見られますが、原状回復義務の範囲を明確に規定している契約書は少ないのが現状です。「原状回復」という文言から、あたかも借りたときとまったく同様のコンディションで返還することを義務付けるものであると思われる方もおられるかも知れませんが、実はそうではありません。

建物の賃貸借契約は、建物を使用することを前提にしています。建物を使用していれば、建物の劣化やその他の価値減少は必然的に生ずるものです。新築で購入した建物を中古で売るとなると大幅に価格が下ることを皆様はご承知でしょう。ですから、建物の使用に伴う価値の減少は建物賃貸借契約では当然、予定されているものですから、建物の賃借人が通常使用した場合に生ずる賃借物件の劣化や価値減少部分について、賃借人に原状回復義務を負担させるためには、その旨の明確な合意が必要となり、明確な合意がない限り、賃借人はその部分について原状回復義務を負担することはありません。

賃貸人の中には、契約書に記載された賃借人の原状回復義務を自己に都合よく解釈して、自己が本来、負担すべきリフォーム代を賃借人に求めたり、敷金の返還を免れたいがために、過大な負担を賃借人に求める方がおられますが、本来、負担しなくてよい部分についても賃借人が負担を求められているケースが見受けられますので要注意です。賃借人の方は、賃貸人が求める原状回復の範囲についてその範囲が正当であるかを丁寧に検討してみましょう。

また、店舗営業目的で居抜き物件(前賃借人の下での営業設備等をそのまま承継する場合)の賃借がなされる場合、契約終了時の原状回復義務の範囲に関する明確な合意をしておかないと、契約終了時に原状回復義務の範囲をめぐって必然的にトラブルが発生し、予期しない高額の負担を負わされる結果ともなりかねません。不動産賃貸借契約を締結される事業者の方は、居抜き物件の賃貸借契約を締結する際には、原状回復の範囲に関し、特に注意が必要です。

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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
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