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株主総会における修正動議と株主提案権

Corporate Law

株主総会は取締役が各株主に対し招集通知を発し各株主を招集し、特定の日時に特定の場所で開催されるのが通常です(会社法第298条、第299条)。

株主総会では、通常、「株主総会の目的である事項」について審議が行われ、当該株主総会の目的である事項について議決権が行使されます。

株主総会で審議の対象となる「株主総会の目的である事項」は取締役会設置会社では取締役会決議により決定されるのが原則ですが、他方で、株主の側から見れば、経営陣から提出された議題以外に株主総会で審議を求めることを希望する事項が存在する場合もありえます。株主は株主総会における議決権(会社法第105条1項3号)を通じて株式会社の運営に参画することになりますが、株主が議決権行使の対象となる議題等の提出についてイニシアティブを持つことで積極的に会社の運営に参画する必要性が生じることも少なくありません。経営陣が提出していた議題を承認するだけの物言わぬ株主から会社の経営に積極的な関心を持ち、能動的な関わりを求める株主の出現は適正なガバナンスの観点からは極めて重要なものです。

そこで、会社法は株主に対し、取締役に対し一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができるものとし(会社法第303条1項)、また、株主に対し、株主総会の目的である事項につき議案を提出する権利を認めています(会社法第304条)。会社法では、非取締役会設置会社の株主総会は株式会社の組織、運営、管理等に係る一切の事項について決議することができるものとされていますから、この株主提案権は株主の総会に対する積極的関与を図り、株主による主体的な会社運営を実現する点で極めて有効な機能を果たします。議題の提案に係る株主の提案権は、取締役会設置会社では少数株主権とされており、原則として、総株主の議決権の百分の一以上の議決権又は三百個以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主に限り行使することができます。非公開会社では六箇月前から引き続き株式を有するという要件は不要あり、所定割合又は所定数の株式を有する株主であれば提案権を行使することは可能です。

この株主提案権といわゆる修正動議の関係についてご質問をお受けすることがありますが、修正動議は、既に提出されている議題と同一性のある範囲内で提出がなされるものであり、同一性の範囲を超えては動議の提出が認められないのに対し、株主提案権は、議題そのものを株主がイニシアティブをもって提出することができる「権利」を認めたものであり、株主総会に対する株主のより主体的な関与を実現し株主総会の活性化を図る積極的方策として位置づけられることになります。

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京都双葉法律事務所 弁護士 中井基之(京都弁護士会所属)
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